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ガブリエル・マチュ・ド・クリュのロマン
1714年、アムステルダム市当局がコーヒーの木をフランスに送る。パリ植物園に移植されたこのコーヒーの木から分かれた子孫が、ほどなくフランス植民地の南アフリカ、カリブ、中央アメリカの国々やメキシコの親木になるのである。このコーヒの木の移植にまつわるロマンは出色である。
フランス海軍士官のガブリエル・マチュ・ド・クリュは、この苗木を自分の任地である大西洋のマルティニック島に持参するのだが、当時の海洋航海は大変難儀であった。
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途中でハリケーンにも会い、やがて飲料水が欠乏してきた。飲料水が割り当てになったとき、クリュは自分の水をコーヒーの木に注いで枯れないようにするなどの細心の注意をはらい、苦心の末、無事自分の任地に持ち込むことに成功した。
コーヒー木はこうして大西洋の島に根付き、この木から採れたコーヒーの種子はさらに転々としてカリブ海沿岸諸国や中南米に広まっていった。
1723年のクリュの壮挙は、彼の顕彰碑に刻みこまれて今日に伝えられている。
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