[ネル・ドリップ式で入れる]
日本では、ペーパーフィルターを使用する以前からネル(正式名称はフランネル)を円錐形に縫って、使用していました。ルーツはブラジルやメキシコで、単にこすためのものでしたが、日本では1〜5人分の小量用として粉を入れて抽出します。

レギュラーコーヒー党の中には「コーヒーを入れる」「コーヒーを飲む」ときに、こだわりを持った人が多くいます。ネルを買い、フィルターを縫って使う人がいるぐらいです。コーヒーの入れ方も茶道を思わせるお湯の注ぎ方で、姿勢を正してゆっくり、ぼたぼたと注ぎます。いまでこそペーパーフィルターが主流になっていますが、約40年前はペーパーは出回っておらず、ネルが愛用されていました。

とても単純な入れ方ですが、「コーヒーの入れ方はドリップ式に始まり、ドリップにに終わる」といわれるほど奥の深い方法で、コーヒーの持つさまざまな味(強い酸味、強い苦味、濃い味、薄い味)に対応できるよさがあります。欠点はフィルターの取り扱いが少々面倒なところにあります。ネル・フィルターの取り扱いが面倒だというのは、使用前と使用後の扱い方に、十分な注意が必要だからです。

まず、買ったばっかりのフィルターには糊や油分がついているので、すぐ使用してはいけません。お湯でよく洗ってそれらを完全に落として(石鹸や洗剤は使わない)その後ネルにコーヒーをなじませるため、コーヒーのだしがらで10〜20分煮てから使用します。使用後も、フィルターの内側と、外側をお湯でよく洗います。そのときも洗剤などは使用しないことです。洗剤などを使うと、後でいくら洗っても臭いが残ってしまいます。

フィルターを保管するときは布全体を水に浸し、絶対に乾燥させないようにします 。乾燥させると布に付着しているコーヒーの脂肪分が空気中で酸化し、悪臭を残します。
ネル・ドリップ式での淹れ方